ふるさと納税と医療費控除は併用できる!上限額の計算と失敗しない申告方法

病院の入院費とふさと納税について考えて理解を深める様子 健康・生活

「今年は入院や通院で、医療費がけっこうかかった……。医療費控除が使えそう!」

そう思って調べ始めたら、

  • 「医療費控除には確定申告が必要」
  • 「確定申告をするとワンストップ特例が無効になる」
  • 「ふるさと納税の上限額まで下がる」

という話が次々に出てきて、「え、もう寄付しちゃったけど大丈夫?」と不安になっていませんか?

先に結論をお伝えします。ふるさと納税と医療費控除は、両方いっしょに使えます。気をつけることは、たった3つだけです。

この記事では、医療事務15年・FP3級の私が、「制度の勉強」ではなく「私の場合、何をすれば損しないの?」がわかるように、順番にお話しします。

私自身も今年、眼科で1週間入院しました(そのときの記録は眼科で1週間入院した記録|持ち物・4人部屋・術後のリアルに書いています)。医療費がかさむ年は、誰にでも突然やってきます。

ふるさと納税と医療費控除は併用できる

結論:両方使えて損もしにくい

医療費控除とふるさと納税(寄附金控除)は、まったく別の控除です。「どちらか一方しか選べない」ということはなく、同じ確定申告書にいっしょに書けます。

併用すると、ふるさと納税の上限額は少しだけ下がります。でも、医療費控除で軽くなる税金のほうがずっと大きいので、基本は「両方使ったほうが得」です。

医療費控除で変わる3つのこと

医療費控除を受けると、ふるさと納税まわりで次の3つが変わります。

変わること内容
①確定申告が必要になる会社の年末調整では、医療費控除は受けられません
②ワンストップ特例が無効になるふるさと納税も、確定申告に書き直す必要があります
③ふるさと納税の上限が少し下がる目安は「医療費控除額の2.5〜3%ほど」です

この3つさえ押さえておけば、大丈夫です。ひとつずつ見ていきましょう。

医療費控除はいくらから?基本のしくみ

10万円を超えた分が控除の対象

医療費控除の額は、次の式で計算します。

医療費控除の額 =(1年間に支払った医療費 − 保険金などで戻ってきた額)− 10万円

  • 対象は、1月1日〜12月31日に実際に支払った医療費です
  • 1年間の所得(総所得金額等)が200万円未満の人は、10万円ではなく「所得の5%」を超えた分が対象になります
  • 控除できるのは最大200万円までです

医療事務の立場からひとつ付け加えると、ここで勘違いしやすいのが「いつの医療費か」です。医療費控除は「支払った日」で数えます。12月に入院していても、会計が1月なら翌年分になります。

入院給付金・保険金は差し引く

入院や手術をした年は、医療保険からの給付金を受け取った方も多いと思います。これは医療費から差し引きます。

差し引くもの

  • 生命保険・医療保険の入院給付金、手術給付金
  • 共済からの給付金
  • 健康保険の高額療養費(払い戻された分)
  • 出産育児一時金

差し引かなくていいもの

  • 会社を休んだときの傷病手当金
  • 所得補償保険(就業不能保険)の給付金
  • 常識の範囲のお見舞い金

ここで大事なポイントがひとつあります。給付金は、その給付の対象になった医療費からだけ引きます。

たとえば、入院費が15万円で、入院給付金が20万円出たとします。この場合、引くのは15万円まで。余った5万円を、家族の歯医者代などほかの医療費から引く必要はありません。

高額療養費のしくみについては、高額療養費の記事でくわしく書いています。

通院の交通費も医療費に入る

意外と忘れやすいのが、通院の交通費です。

項目医療費に入る?
通院の電車・バス代○ 入る
子どもの通院に付き添った親の交通費○ 入る
タクシー代△ 歩けない・急ぎなど、やむを得ないときだけ
自家用車のガソリン代・駐車場代× 入らない
入院中の食事代○ 入る
差額ベッド代(自分の希望で個室にした)× 入らない
治療のための市販薬○ 入る
予防接種・健康診断× 入らない(異常が見つかり治療に進んだ場合の検査費は入る)

電車やバスは領収書が出ないので、日付・区間・金額をメモしておけば大丈夫です。

30万円かかっても30万円は戻らない

よくある誤解が「医療費が30万円なら、30万円戻ってくる」というものです。

実際に軽くなるのは、医療費控除の額 × 税率の分です。

たとえば、医療費30万円(給付金なし)、所得税率10%の人なら、

  • 医療費控除の額:30万円 − 10万円 = 20万円
  • 所得税:約2万円が戻る
  • 住民税:約2万円が翌年安くなる

合わせて約4万円、税金が軽くなるイメージです。所得税は確定申告のあとに口座へ振り込まれ、住民税は翌年6月からの住民税が安くなります。

家族の医療費はまとめて申告できる

生計が同じ家族なら合算できる

医療費控除は、「生計を一にする」家族の医療費をまとめて申告できます。

「生計を一にする」とは、ざっくり言うと「同じお財布で暮らしている」ということです。

  • 扶養に入っているかどうかは関係ありません
  • 共働きの夫婦でも、まとめられます
  • 単身赴任中の夫や、仕送りしている学生の子どもも対象になります

たとえば「自分の入院費+夫の歯医者代+子どもの通院費」を、1人がまとめて申告できる、ということです。

社会人の子どもの医療費は?

ここは迷う方が多いところです。

同居していて生活費をいっしょにしているなら、社会人の子どもの医療費もまとめられる可能性があります。ただし、大事なのは「誰が払ったか」です。

  • 親が払った分 → 親がまとめて申告できる
  • 子どもが自分のお給料で払った分 → 子ども本人の医療費控除になる(10万円を超えなければ使えません)
  • 一人暮らしで自立している → 生計が別なので、まとめられない

判断に迷うときは、税務署の電話相談で確認すると安心です。

夫と妻どちらで申告すると得?

基本は、所得が多い(税率が高い)人で申告したほうが得です。

課税される所得所得税率
195万円未満5%
195万円〜330万円未満10%
330万円〜695万円未満20%

ただし例外があります。所得が200万円未満の人は、10万円ではなく「所得の5%」を超えた分から控除できます。たとえば所得150万円の人なら、7万5,000円を超えた分から対象になります。

もうひとつ、忘れてはいけないのが、医療費控除を申告した人のふるさと納税の上限が下がることです。ふるさと納税をたくさんしている人が申告する場合は、次の章の再計算を必ずしてください。

医療費控除でふるさと納税の上限は下がる

上限が下がるしくみ

ふるさと納税の上限額は、「住民税の額」をもとに決まります。

医療費控除を受ける → 課税される所得が減る → 住民税が減る → ふるさと納税の上限も下がる

という流れです。

下がる幅の目安は、医療費控除の額の約2.5〜3%。医療費控除が10万円なら、上限は2,500〜3,000円ほど下がる計算です。思ったより小さい、と感じる方が多いのではないでしょうか。

医療費40万円でシミュレーション

入院・通院・家族の分を合わせて、医療費が40万円かかった場合で計算してみます。

【条件】会社員/所得税率10%/入院給付金10万円を受け取った

項目金額
1年間に支払った医療費40万円
入院給付金−10万円
足切り(10万円)−10万円
医療費控除の額20万円
ふるさと納税の上限が下がる幅約5,000円
税金が軽くなる額(所得税+住民税)約4万円

たとえば、もともと上限が6万円だった人なら、約5万5,000円になるイメージです。

上限が約5,000円下がっても、税金は約4万円軽くなります。医療費控除を申告したほうが、ずっと得だということがわかります。

※これは目安の計算です。正確な上限は、ふるさと納税サイトの「詳細シミュレーション」(医療費控除を入力できる欄があります)で確認してください。

超えても損するのは超えた分だけ

「もう上限いっぱいまで寄付しちゃった……」という方も、あわてなくて大丈夫です。

上限を超えても、寄付が全部ムダになるわけではありません。自己負担が2,000円より少し増えるだけで、増えるのは「超えた金額」の範囲内です。

たとえば上限を5,000円超えていても、自己負担は最大で7,000円ほど。医療費控除で約4万円軽くなるなら、トータルではしっかり得をしています。

これから年末までに寄付する方は、上限を再計算してから残りの寄付をすると安心です。

併用で失敗しやすい3つの落とし穴

ワンストップ特例が無効になる

一番多い失敗がこれです。

確定申告をすると、すでに自治体に出したワンストップ特例の申請は、すべて無効になります。医療費控除だけを申告して、ふるさと納税を書き忘れると、ふるさと納税の控除がまったく受けられません。

でも、対処はかんたんです。

  • 自治体への取り下げの連絡は不要です
  • 確定申告書に、その年に寄付したすべての自治体を記入すればOK
  • 寄付先が6自治体以上ある場合も、同じく確定申告にまとめて書きます

寄附金受領証明書を捨ててしまう

「ワンストップ特例を出したから、もう要らない」と、寄附金受領証明書を捨ててしまう方がいます。確定申告では、この証明書の内容を入力する必要があります。

もし捨ててしまっても、次の方法でカバーできます。

  • 寄付した自治体に再発行を依頼する
  • ふるさと納税サイトが発行する「寄附金控除に関する証明書」(1年分をまとめた1枚)を使う

来年からは、ワンストップ特例を使う予定でも、証明書は確定申告が終わるまで保管しておきましょう。

上限ギリギリまで寄付してしまう

年末の駆け込み寄付は要注意です。医療費控除を受ける年は、上限から医療費控除の分を差し引いてから寄付しましょう。

12月に通院や治療の予定がある方は、上限よりも少し余裕を残しておくと安心です。

医療費控除しない方がいい人は?

「ふるさと納税と医療費控除、どっちが得?」「医療費控除はしないほうがいい?」という声も聞きます。

ここまで見てきたとおり、ほとんどの人は医療費控除を申告したほうが得です。

ただ、次のような人は、申告しても効果がない、または少ないケースです。

  • 医療費が10万円(所得200万円未満なら所得の5%)を超えない
  • もともと所得税も住民税もかかっていない
  • 控除額がわずかで、確定申告の手間のほうが大きいと感じる

申告しないと決めた場合は、提出済みのワンストップ特例はそのまま有効です。何もしなくて大丈夫です。

スマホで確定申告するやり方

準備するもの

  • マイナンバーカード(読み取れるスマホ)
  • 源泉徴収票(12月〜1月に会社から受け取ります)
  • 医療費の領収書、または医療費通知
  • 保険の給付金の支払通知
  • 寄附金受領証明書、または寄附金控除に関する証明書
  • 還付金を受け取る口座

医療費の領収書は提出しなくてよいですが、5年間は保管が必要です。

マイナポータル連携で自動入力

マイナンバーカードがあれば、「マイナポータル連携」で次の情報を自動で取り込めます。

  • 医療費通知情報:健康保険を使った医療費(1年分がそろうのは、例年2月上旬ごろ)
  • ふるさと納税:楽天ふるさと納税・さとふるなど、対応しているサイトの寄付データ

ただし、医療費通知情報に入っていないものがあります。

  • 通院の交通費
  • 市販薬
  • 保険がきかない自由診療
  • 保険の給付金(差し引く分)

これらは手で追加入力します。また、家族の医療費を取り込むには、家族のマイナポータルで代理人の設定が必要です。

e-Taxの入力手順

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から入力します。

  1. 「作成開始」→「スマートフォンを使用してe-Taxで提出」を選ぶ
  2. 「所得税」を選び、マイナポータル連携を選ぶ
  3. 源泉徴収票の内容を入力する(カメラで読み取りもできます)
  4. 医療費控除:取り込んだデータを確認し、交通費や給付金を追加する
  5. 寄附金控除:寄付した自治体をすべて入力する
  6. 還付金の受取口座を入力して送信する

パソコンでも流れは同じです。国税庁のサイトには、医療費控除とふるさと納税をいっしょに申告する入力例も載っています。

申告期限とお金が戻る時期

  • 2026年分の確定申告:2027年2月16日(火)〜3月15日(月)
  • 税金が戻るだけの申告(還付申告)なら、2027年1月1日から提出できます
  • 還付申告は5年前までさかのぼれるので、去年の医療費控除を忘れていた方も間に合います
  • e-Taxなら、還付金は3週間ほどで振り込まれるのが目安です
  • 住民税は、翌年6月からの住民税が安くなります

なお、医療費控除は会社の年末調整ではできません。必ず確定申告が必要です。

年末までにやること5ステップ

「結局、私は何をすればいいの?」という方は、この5つだけ順番に進めてください。

①今年の医療費を確認する

マイナポータルや領収書で、今年の医療費を合計します。家族の分もいっしょに。通院の交通費のメモも忘れずに。

②保険金・給付金を確認する

入院給付金や手術給付金、高額療養費など、戻ってきたお金を書き出します。

③ふるさと納税の上限を再計算

①②から医療費控除の額を出し、ふるさと納税サイトの詳細シミュレーションで上限を計算し直します。年末までの寄付は、その上限の範囲で。

④ワンストップではなく確定申告

今年ワンストップ特例をもう出している方は、そのままで大丈夫です。これからの寄付は、ワンストップ特例の申請書を出さなくてかまいません。寄附金受領証明書は必ず保管しておきましょう。

⑤医療費とふるさと納税を一緒に申告

年が明けたら、確定申告で医療費控除とふるさと納税を同じ申告書に入力します。還付申告なら1月から出せます。

12月31日まで、まだ時間はあります。今のうちに①と②だけでも確認しておくと、年末の寄付で迷わずにすみます。

まとめ

  • ふるさと納税と医療費控除は併用できる。基本は両方使ったほうが得
  • 医療費控除を受けると、ふるさと納税の上限は控除額の約2.5〜3%下がる
  • 確定申告をするとワンストップ特例は無効。ふるさと納税もいっしょに申告する

医療費がかさんだ年は、体もお財布も大変です。せめて税金の手続きでは、損をしないようにしたいですね。

※この記事は2026年9月時点の制度をもとに書いています。最新の情報は国税庁のホームページで確認してください。

ならば……どうか、あなたの確定申告が、すんなり終わりますように。

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